2011年、中村 誠一古屋市守山区の小さな作業場で始めました。それまでの10年間、岡崎市内の石材店で墓石の加工職人として働いていました。独立の理由は単純です。「下請けのまま続けていたら、自分が何を作ったか分からなくなる」と感じたからです。最初の2年間は機械も少なく、大型の切断はよその工場に頼んでいました。それでも、据付と仕上げだけは必ず自分で現場に立ちました。
転機は2014年の秋でした。名古屋市内の老舗料亭から、玄関から中庭まで続く延べ40メートルの石畳工事を依頼されました。当時の自社では規模的に難しく、一度は断りかけました。しかし施主の「職人の顔が見える業者に頼みたい」という言葉が引っかかり、引き受けることにしました。工期は3か月。途中で石の色味が合わなくなり、岡山の採石場に直接出向いて同ロットの石を追加手配するという経験をしました。その工事が終わったとき、直接仕入れルートの重要性を骨身に染みて理解しました。
中村 誠一知県岡崎市出身。高校卒業後、地元の石材店に入り10年間墓石加工の職人として働いた。2011年に名古屋市守山区で Granite Covex を創業。2014年に名古屋市内の老舗料亭の石畳工事を機に岡山の採石場との直接取引を開始し、以来、商社経由の仕入れを一切やめた。大手ハウスメーカーから下請け契約の打診を3度受けたが、すべて断っている。休日は岐阜県の山中で渓流釣りをしており、「石の顔は水の中でいちばんよく分かる」が口癖。